キャリアカウンセリングプログラム
〔ここでは、島根県立宍道高等学校が島根県のキャリア教育モデル校としての取り組みについて〕
キャリア教育について興味がある方は、随時報告していきますので、読んでみてください。
拭い切れぬ温度差
実際に企業人が公共性のある公立の学校組織に入ってみると自分の今までの経験則では
計ることのできない温度差が存在する。
先ずは宍道高等学校の真田校長であるが、とてもダンディーなユーモアと茶目っ気のある
好人物であった。
彼の目指すところは、生徒の自律であり、生徒の自立であった。
が、その方法論は、なんと、教員自身の意識改革に他ならなかった。
宍道高校におけるわたしの役割
CCPとは、キャリア・カウンセリング・プログラムの訳であるが、
「実際のところ何をすべきなのか、担当者になるまで全く理解することができなかった。」
これこそがわたしの本音である。
そして、宍道高等学校で働く多くの教員さえも理解の及ばない領域でもあった。
しかし、CCPの担当者になってはじめて学び理解していく過程で、その責任の重さに
圧倒される思いである。
これから少しずつそのCCPについて説明しようと考える。
わたしが理解したCCPとは
CCPをインターネットで検索すると、それらしき解説は見出すことができない。
だが、キャリアカウンセリングプログラムで検索したときには次のような記事があった。
平成 18 年度キャリアカウンセリングプログラム(CCP)実証事業
松江東高校で新たに実施
この記事の発行者は、
(財)ふるさと島根定住財団
ジョブカフェしまね
担当:山岸、宮廻
TEL :28 -0 6 9 1
登載者:労働政策課 曽田
TEL :22 -5 3 0 9
である。
財団法人ふるさと島根定住財団とは、財団について、定住財団とはの「定住財団の沿革」を
参考にしてもらいたい。
一言で説明すれば
「人口減少(県外就職などによる人口流出)に歯止めをかけなければならない」ために
設立された機関である。
その具体的な方法は、「Uターン、Iターンを問わず、地元での就職を支援する」というものである。
この(財)ふるさと島根定住財団が音頭をとって日本マンパワーと共同開発したものが
CCP(キャリアカウンセリングプログラム)であり、島根県独自のものである。
プログラムの履歴を調べると2007年(平成19年)3月であった、すなわち平成19年度の
成果品として納品されている。
これらのことから推測されるのは、平成16年度からプログラム開発に取り組み、
平成18年度に実施した。
それらのデータを基礎として平成19年度にCCPの実際の電子データ(PDF)を作成し
納品したと考えられる。
ここでもう一つの記事に注目していただきたい、それは文部科学省進路指導・キャリア教育の
記事である。
詳しく調べると実施は平成16年度からであり、島根県のCCPのプログラム開発年度と一致している。
すなわち、国の文科省のプラン、政策に島根県が迅速に対応したことが伺える。
それも教育という一元的な捉え方ではなく、島根県の「生き残り」というファクター(要素・因子)を
考えながらの試みであった。
平成 18 年度キャリアカウンセリングプログラム(CCP)実証事業
松江東高校で新たに実施
の記事に、
「平成16 年度にプログラム開発し、17 年度・18 年度と実証のため各5 校の協力高校
を選定し、実証事業を実施しています。1 8 年度の実証事業は、昨年度から継続実施中の県
立高校3 校(情報科学高校.大社高校佐田分校.浜田水産高校)・私立高校1 校(松江西高
校)に加え、新たに県立松江東高校で実施します。」
という記載があるが、
今までいろいろな高校でキャリア教育に関する試みを行ってきたが、特に進学校では地元での
就職に直結するケースは少なかったため、平成23年度にあっては、定時制と通信制を併設している
島根県立宍道高等学校をCCPのモデル校として何らかの結果を出していこうという考えであると
憶測する。
これらの経緯があっても、平成23年度のCCPのモデル校として島根県立宍道高等学校が選定されて、わたしが進路コーディネータとしての働きを遂行することには何ら変わりはない。
ここでわたしなりの結論じみたことを述べると、
「島根県に定着・定住させて、納税できる人を作る」
これこそがCCPの本来の目的であり、「県としての生き残り策」である。
これからは、宍道高等学校でどのようにCCPを進めていくのか?という命題について
わたしなりの考えを論じていくことにしよう。
生徒に求める自己理解と他者理解
宍道高等学校でのCCP教育に携わるようになって分かってきたことは、とてもデリケートな
バランス感覚であった。
メンタルな部分と一言で表現すれば終わってしまうかもしれないが、一言で終わってしまえない
特別な問題を含有している。
ここに天秤があり、左側に肉体的な皿があり、右側に精神的な皿があると想像してもらいたい。
しかし、両側に載っているのは「自己理解と他者理解である。」
- 自己理解の最終形は、自己肯定感(観)である。
- 他者理解の最終形は、自己重要感(観)である。
学生にとって、少年から青年へ、青年から大人へと身体的な変化と共に、精神的な面においても
変化が生じる。
これらのバランスがとてもデリケートなバランス、均衡を保っているのだ。
バランスの変化を当たり前の事柄として、CCPや保健教育の中で説明を試みる。
これが現代におけるキャリア教育の一端でもある。
教員に求められる社会常識
企業と高校を結びつけることは、一筋縄で出来ることではない。
好景気、不景気、教員の世界においては実感できない領域であり、
もっと言えば、そこは教員の意識があまり及ばない領域である。
そんな世界観を持った教員が生徒を社会に送り出すのだから・・・。
そんなところからOJT(オンザジョブトレーニング)の必要性を取り上げて、
教育委員会と諮(はか)っている。
今年度(平成25年度)一杯で任期が終わりました。
長かったようで、あっという間の3年間でした。
3年間での達成率を私の感覚で示してみると、
教員の意識改革 55%
(なかなか教員の意識を変えることは難しかったです)
生徒の意識改革 80%
(実際に多くの生徒と向き合うことができました)
保護者の意識改革 25%
(保護者の方までに働きかけることはできませんでした)
企業と宍道高校のパイプを作ることについて
宍道高校に対する商工会議所・商工会の理解 85%
(宍道高校のエリアの商工会議所関連は全て訪問して説明した)
宍道高校に対する企業の理解 25%
(宍道高校のエリアの企業は多すぎでまわり切れなかった)
しかし、新聞や活動等で宍道高校をPRはできたと考える。
宍道高校の卒業生の就職についての実績
平成24年度の卒業生 100%
平成25年度の卒業生 95%
私が感じた本音の部分は、解任されてからしっかり記載することとする。
3年間のキャリア教育に携わった記録として
キャリア教育関連新聞記事にも挙げている。
宍道高等学校におけるキャリア教育推進事業【実践報告書】
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